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Rhythm

猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ_b0174518_23103876.jpg「読書の秋」とはよくいったものだ。
夏は暑いし、子供たちが年がら年中周りにいてなんとなくじっくり本を読めない。その反動なのか、涼しくなったらゆっくり丁寧に本が読みたくなった。
本屋さんに行って探してみるものの、サスペンスか映画の原作みたいなものが多くていまいちピンとこない。推理小説やサスペンスも好きなんだけど(伊坂幸太郎が好きなくらいだから)、先が気になって気になってしょうがなくてついついあらすじ読みをしてしまい、好きだったものはもう一度最初から読み直すというのがいつものパターン。でも今はそうじゃなくてもっとじっくりゆっくり読めるものがいい。そういう気分。恋愛小説的なものもパス。そうなるとどれを読むのかで悩んでしまってそんなことで時間が過ぎるというバカバカしさ。

結局本屋大賞の過去のノミネート作品の中からこの本に決めた。

結果、大正解。

彼女の小説に出てきてストーリーの中心になっているものはたいてい華やかでも目立つようなものでもないけれど(速記者の指だったり、数式だったり、カバだったり、ここではチェス)、

とても美しく魅力的に描かれてる。そこで選ばれる言葉やイメージが本当に素敵でまるでレース編みのようで、レースのむこうに書かれている以上の景色がどんどん広がっていく感じ。だから急いでたくさん読んだらもったいない、今日はここまでにしておかなくちゃって思う。結局読み終えるまで一週間くらいかけてしまった。
このお話は全体的にグレーの印象でどっちかというと暗く静かで狭い世界だから万人がおもしろいという本ではないのだろうけど、わかりにくい話ではないし言葉とイメージの妙にただただ感動。チェスがわからなくても十分楽しめたけど、知っていればもっともっと美しく感じられるのだろうと思うとちょっとだけ残念だったけど。

夏に読んだものの中で一番良かったのは椰月美智子さんの「しずかな日々」。夏の終わりに読むのにぴったりで、私の中では「西の魔女が死んだ」の男の子版という印象。男の子っていいなと思えるし、同時に小学生の頃の感覚も懐かしく湧き上がってくるようなお話だった。
今はこの前TVでやっているのをみて(最後のエンドロールだけしか見れなかったけど)懐かしくなり、「ゴールデンスランバー」を再読中。
さてその次は何を読もうかな。図書館でリクエストしている本はどれも待ちなんだよなぁ。
by dory_dory | 2011-10-08 23:52